昨今、アメリカでも日本でも、キャピタルゲイン増税の話が浮上しています。
コロナ禍で乱発した国債の穴埋めをしようというのでしょうか?
そもそも先進国が自国通貨建てで発行した国債なのだから、破綻なんてするはずがないのですが、あいかわらずプライマリーバランスにこだわっているようです。
ともあれ、政権がどうなろうとも財務省が強い権限を握っている以上、増税路線は変わりそうにありません。
我々庶民はしっかり勉強して税制をきちんと理解し、増税に対抗していかないと、せっかく積み上げた利益を根こそぎ持って行かれます。
まずは現状把握から
会社勤めをしていると、毎月給与明細を受け取ります。その中身をきちんと把握しているでしょうか? いろいろ控除されていますが、その計算式を知っていますか?
多くの人が、口座に振り込まれる金額しかチェックしていないのが実態かと思います。
私もその一人でした。「なんだかたくさん引かれているなー。でも毎月のことだから仕方ないか・・・」と思い、給与明細を細かく見ることはありませんでした。
これが大きな誤りであることに気がついたのは40代になってから。遅すぎますね💦
まずは現状をきちんと把握しないと、対策の立てようもありません。一度じっくり眺めてみることをお勧めします。
年収500万円サラリーマンの税金と社会保険料
税金と社会保険料は収入に応じて必ず支払わなければなりません。その金額は、単身か既婚か、子どもの有無、住んでいる地域、勤めている会社の業務内容など、各人のおかれた状況によって異なります。
以下は年収500万円の単身者の一例です。こんなにも多くのお金が天引きされているということに気づいてください。
(1)社会保険料
種類 | 保険料率 |
厚生年金 | 一般の被保険者は18.3%、会社と折半するので実質負担は9.15% |
健康保険 | 9.9% 会社と折半で実質負担は4.95%(東京都、協会けんぽの場合) |
雇用保険 | 0.3%(業種によって異なる) |
介護保険 | 1.79% 会社と折半で実質負担は0.895%(40歳~) |
40歳以上なら社会保険料の合計は16.19%。支払う保険料は年間で809,500円にもなります。
(*上記はあくまで一例に過ぎません。実際は様々な要因で金額は変わってきます)
(2)所得税
所得税の計算方法を解説したホームページはたくさんあるので、ここでそれを繰り返すつもりはありません。年収500万円ならば、概ね以下のようになります。
● 基礎控除 = 48万円
● 給与所得控除 = 144万円
● 社会保険料控除 = 81万円(上記の計算による)
● 合計控除額 = 273万円
● 課税対象額 = 500万円 – 合計控除額 273万円
= 227万円
● 所得税額 = 課税対象額 227万円 × 10% – 97,500円
= 129,500 円
(3)住民税
● 基礎控除 = 43万円
● 給与所得控除 = 144万円
● 社会保険料控除 = 81万円(上記の計算による)
● 合計控除額 = 268万円
● 課税対象額 = 500万円 – 合計控除額 268万円
= 232万円
● 住民税額 = 232万円 × 10% + 均等割 5,000円 – 調整控除 2,500円
= 234,500円
年収500万円サラリーマンの手取り
上記の例では、年収500万円の人の手取り額は、概ね以下のようになります。
500万円 – 社会保険料 – 所得税 – 住民税
= 500万円 – 81万円 -13万円 – 23万円
= 383万円
なんと、500万円の23%が税金と社会保険料で持っていかれることになります!
社会保険料が巨大であることに気づくべき!
こうして見ると社会保険料の81万円が非常に大きいですよね。次に大きいのが住民税。
でも多くの人がこの事実に気づくことなく、支払っています。
その理由は、所得税や消費税は話題になるけど、社会保険料や住民税はあまり話題にならないからです。
私の邪推に過ぎませんが、話題にならないように、メディアを巻き込んで、あの手この手を使っているのでしょう。
特に社会保険料は、毎年のようにこっそり、かつ淡々と値上げされています。姑息としか言いようがありません。
実態をきちんと把握して、インパクトの大きいものから順に対策を講じる
このように税金および社会保険料の計算式を理解すると、自分が何を行うべきかが見えてきます。
具体的には以下の2つですね。
● 控除額をできるだけ大きくする
● 社会保険料を最小化する
ビジネスの世界においても、私生活においても大切なことは、計算式とその結果である数字をきちんと理解して、インパクトの大きいものに的を絞って対策を講じることだと思っています。
控除額をできるだけ大きくする
所得税と住民税は、収入から控除額を差し引いた金額に対して税率が適用されるので、控除額をできるだけ積み上げることが大切です。これによって税額を最小化することができますね。
控除額を最大化する方法はたくさんあります。
まず控除の対象となるものが何であるかをしっかり学んで、自分がそれに該当するかどうか、一つひとつ検証していくしかありません。
控除対象には以下のような項目があります。
● 所得控除
所得金額から差し引く「所得控除」には、14種類の控除が存在します。具体的には、以下のような控除が用意されています。
・雑損控除:災害・盗難・横領などによる損害を受けた場合に適用される控除
・医療費控除:医療費が一定額を超えた場合に適用される控除
・社会保険料控除:社会保険料を支払った場合に適用される控除
・小規模企業共済等掛金控除:小規模企業共済の掛金等を支払った場合に適用される控除
・生命保険料控除:生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に適用される控除
・地震保険料控除:地震保険料等を支払った場合に適用される控除
・寄附金控除:国、地方公共団体、公益社団法人、公益財団法人などに寄付した場合に適用される控除
・障害者控除:納税者及び同一生計配偶者、扶養家族が障害者に該当する場合に適用される控除
・寡婦控除・寡夫控除:配偶者と離婚・死別し、生計を一にする子がいる場合に適用される控除
・勤労学生控除:一定水準以下の給与所得のある学生に適用される控除
・配偶者控除:年間48万円以下の所得金額の配偶者がいる場合に適用される控除
・配偶者特別控除:年間48万超~133万以下の合計所得金額の配偶者がいる、または配偶者控除の対象とならなかった配偶者がいる場合に適用される一定金額の控除
・扶養控除:扶養する家族がいる場合に適用される控除
・基礎控除:合計所得金額が2,500万円以下の納税者であれば、原則として、誰でも適用される控除
● 税額控除
税額控除は、課税所得金額に税率を掛けて算出した所得税額から、直接差し引くものです。約20種類の税額控除が用意されています。そのなかでも、代表的なものを以下に紹介します。
・外国税額控除:外国で得た所得について課税された外国所得税の額の控除
・政党等寄附金特別控除制度:政治活動への寄付をおこなった場合の控除
・認定NPO法人等寄附金特別控除:認定NPO法人等へ寄付をおこなった場合の控除
・公益社団法人等寄附金特別控除:公益社団法人及び公益財団法人、学校法人など、規定された法人に対する寄付をおこなった場合の控除
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除:住宅の新築・増改築の際、住宅ローンを組んだ場合の控除
・住宅耐震改修特別控除:住宅耐震改修をした場合の控除
・住宅特定改修特別税額控除:バリアフリー改修工事、省エネ改修工事、多世帯同居改修工事、耐久性向上改修工事をおこなった場合の控除
・配当控除:配当所得に対して10%ないし5%の金額を控除
Google検索すれば詳しく解説してくれたホームページが山ほど出てきます。
まずは面倒くさがらずに学ぶことです。自分の手取り収入のアップに直結するのですから、時間をかけて取り組む価値があります。
サラリーマンの節税は難しいとよく言われますが、一つひとつ丁寧に吟味すれば、必ず何らかの策が思い浮かびます。
社会保険料を最小化する
一方、社会保険料を最小化するにはどうしたら良いでしょうか?
先に述べたとおり、所得税や住民税より高額なのは社会保険料です。しかも毎年のように値上げされています。早く手を打つに越したことはありません。
切り札はマイクロ法人の活用です!
これについてはホームページを検索してもなかなか出てきません。それでも最近は少しずつ情報量が増えてきましたから、ぜひぜひ時間をかけて学んでほしいものです。
私も過去に以下のような記事を書いています。
まとめ
投資信託の信託報酬のわずかな差(年0.01%)にこだわる人は多数います。でも、そんな人に限って税金や社会保険については野ざらしのまま。
早期FIREを目指して資産形成したいなら、自分の収入から問答無用で差し引かれる税金や社会保険料に、まず注目べきだと思います。
特にこっそりと値上げが進んで、今や収入の16%もが持っていかれる社会保険料には要注意。今後もジワジワと値上げされていくことは間違いありません。できるだけ早く手を打ちましょう!
そのために大事なのは自分自身の実態把握。計算式をきちんと理解することが最初の一歩です!
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