【実践大家コラム 4】収益不動産の真の実力を見極めよう③

前回はシン・キャッシュフロー(以下、シンCF)について記載しました。ポイントは以下のとおりです。

●シンCF=CF+隠れた貯蓄
●シンCFは物件の真の実力を示す指標
●シンCFを計算することで、物件を購入してから売却するまでの間に大家が手にするキャッシュの総額を把握することができる

今回は、2つの物件を比較しながら、もう少し詳細を見て行きましょう。

2つの物件を比較してみましょう。どちらを選ぶ?

例えば、以下の2つの物件があったとしましょう。

物件A:築古木造アパート
表面利回り10%、価格5000万円、自己資金1000万円、融資4000万円
融資期間20年、金利2%、元利均等返済

物件B:新築RCマンション
表面利回り6%、価格1億円、自己資金1000万円、融資9000万円
融資期間30年、金利2%、元利均等返済

これらを10年間運営して、購入価格と同一金額で売却できたとします。

まずは中間期にあたる5年目のCF、隠れた貯蓄、シンCFを見てみます。以下のとおりです。(数字はすべて月あたりの金額)

続いて、10年間の累積がどうなるかを見てみましょう。以下のとおりです。

毎月のCFばかりに目を奪われていると、毎月手にするキャッシュが大きい物件Aを選びがちです。ところが、シンCFの視点で見ると、どちらの物件も実力は同じであることにお気づきかと思います。

物件A:築古木造アパート
毎月手にするキャッシュは多いが(15万円)、売却時に一括して手にするお金は小さい(1804万円)

物件B:新築RCマンション
毎月手にするキャッシュは少ないが(9万円)、売却時に一括して手にするお金は大きい(2429万円)

要は、お金を手にするタイミングが異なるだけで、物件Aも物件Bも、物件が有する実力に差はないのです。

上記の例では自己資金はいずれも1000万円です。物件Aの価格は5000万円、物件Bは1億円なので、借入金額が異なるわけですね。

毎月のCFが大きい築古木造アパートを好むか、売却時に一括して入ってくるお金が大きい新築RCを好むか。
あるいは、借入金が少なくて済む築古木造アパートを好むか、借入金は多くとも保有期間中の手間とストレスが少ない新築RCを好むか。

考え方は人それぞれです。購入者の不動産投資のステージによっても戦略は変わってくることでしょう。

まとめ

物件探しをしていると、毎月手にするキャッシュフロー(CF)にばかり目が行きがちです。しかしながら融資を受けて不動産投資をした場合、頑張って運用している間に元金返済が進み、その分は売却益として一括して手にすることができます。これが「隠れた貯蓄」です。

CFはもちろん大切ですが、「CF+隠れた貯蓄」の合計値であるシン・キャッシュフローにも注目しましょう!

●表面利回り、CFに加え、隠れた貯蓄にも注目しよう!
●隠れた貯蓄とは、返済が完了した元金のこと。CFのように毎月手にすることはできないが、売却時に一括して得ることができる
●シンCF=CF+隠れた貯蓄
●シンCFで物件の真の実力を把握しよう!

次回は、シンCFの計算方法について、さらに具体的に見て行きます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

隠れた貯蓄=海面の下に隠れた部分=返済が完了した元金

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