【実践大家コラム 8】物件タイプごとのシン・キャッシュフロー(RC、木造、戸建)③

前回は築古RCマンションと築古木造アパートを、シン・キャッシュフロー(以下、シンCF)の観点から見てみました。今回は築古木造アパートと新築RCマンションを比較してみましょう。

●築古RCマンション vs 築古木造アパート
●築古木造アパート vs 新築RCマンション ←今回はココ
●築古戸建 vs その他

モデルケースの前提

それぞれのケースは、昨今の市況を踏まえて以下のような前提を設けました。いずれも自己資金1000万円、10年後に購入価格と同額で売却する前提としています。

●築古木造アパート
– 価格5000万円、表面利回り10%の築古木造アパート
– 自己資金1000万円、銀行借入金4000万円(元利均等返済)
– 融資期間20年、金利2%、税金や修繕などの経費率15%
– 10年後に購入価格と同額の5000万円で売却

●新築RCマンション
– 価格1億円、表面利回り6%の新築RCマンション
– 自己資金1000万円、銀行借入金9000万円(元利均等返済)
– 融資期間30年、金利2%、税金や修繕などの経費率15%
– 10年後に購入価格と同額の1億円で売却

計算結果の考察:築古木造アパート vs 新築RCマンション

●大家が毎月手にする CF
築古木造の表面利回り10%に対し、新築RCは6%としているので、毎月のCFは築古木造の圧勝となりました。融資期間は新築RCの方が10年長くとれる前提としていますが、それでも毎月のCFという観点では、築古木造が有利です。

●シンCF
ここはぜひとも注目したいポイントです。築古木造も新築RCも、シンCFはほぼ同等という結果になりました。新築RCは毎月のCFこそ少ないですが、大きなレバレッジを効かせられる分、隠れた貯蓄が大きくなるのです。

毎月のCFばかりに目を向けていると、「表面利回り6%なんて・・・」と考えがちです。しかしながら物件の真の実力を判断する際は、シンCFという観点からも評価すべきだと思います。毎月のCFも、隠れた貯蓄も、最終的には大家が手にすることができるお金なのですから。

不動産投資をこれから始める、あるいは始めたばかりで、自己資金も潤沢でないならば、新築RCという選択は避けた方が良いでしょう。毎月のCFが少ないと、不測の事態に対処しにくいからです。
また、次の物件の購入資金がなかなか積みあがりません。隠れた貯蓄は売却しないと得ることができないからです。

一方、ベテランの不動産投資家で、手元資金も潤沢にあるならば、新築RCという選択は大いにあり得ると思います。毎月のCFがさほど大きくなくとも、事業運営に支障はないでしょうし、何と言っても新築は修繕などの運営の手間がかかりません。10年くらいならノーストレスで行けます。

そして10年後には隠れた貯蓄が、一気に手元に入ってきます。新築なので20年保有したとしても「築20年」です。売却時の競争力は十分にあることでしょう。長く保有すればするほど、隠れた貯蓄が大きくなるのは言うまでもありません。

最近、新築RCへの投資が注目されているのはこのためでしょう。唯一のリスクは、最近の資材価格の高騰や職人不足により、「建たないリスク」があることだと思います。新築工事が途中で止まってしまったら、ただ事では済まないですからね。
このような「建たないリスク」を回避するためには、建築後数年以内の超築浅RCや超築浅重鉄に注目するのも有効かもしれません。

まとめ

今回は築古木造アパートと新築RCマンションを比較してみました。
それぞれの特長をご理解いただければ幸いです。その上で、各々の状況に応じた投資計画を立てることが肝要だと考えています。

次回は「築古戸建 vs その他」を考察してみます。

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